【5月第3週】ランサムウェア「Darkside」による大規模被害(米)
2021年5月7日、米国東海岸における燃料供給の約半分を担うColonial Pipeline社が操業停止に追い込まれました。これはランサムウェア「Darkside」のサイバー攻撃によるもので、ガソリン、ディーゼル、家庭用暖房油などの燃料貯蔵庫が大きな影響を受け打規模な燃料不足に至りました。今一度ランサムウェア対策について考える機会としましょう。
「Darkside」とは
冒頭でも触れたように、Colonial Pipeline社が「Darkside」の攻撃により操業停止に追い込まれました。アトランタ市では30%のガソリンスタンドでガソリン不足が発生し、他の都市でも同じような状況となりました。必要なサービスへの供給を維持するため、政府も買いだめをしないよう勧告を出す事態になりました。
今回の事件について米連邦捜査局(FBI)では、「Darkside」と呼ばれるサイバー犯罪集団が、この攻撃の背後にいることを確認しました。使用されたランサムウェアファミリー「Darkside」は、2020年8月に初めて発見されたものですが、サイバー犯罪集団は過去に金銭的に大きく成功した経験を生かしているとみられています。ブルームバーグの報道によると、Darksideは、標的した企業の端末をロックしたほか、100GB以上の機密情報を窃取したとされています。
このDarksideは、一般的な被害者端末のロック解除と引き換えに身代金を要求するだけでなく、窃取した情報の代金も要求するという「情報暴露型」の「二重脅迫」の手口を駆使してきた経緯があります。さらに加えて、DDoS攻撃などによっても脅迫を行う「四重脅迫」と呼ばれる手口をも展開しているとし、トレンドマイクロでは以下の4段階の内容であると解説しています。
■第1段階:ファイルを暗号化した後、脅迫状を示して暗号資産での身代金支払いを要求。
■第2段階(二重脅迫):第1段階に加え、情報流出で窃取した機密情報を暴露すると脅す。ランサムウェア「Maze」が初めてこの手法を実行し、他の攻撃者も追随。
■第3段階(三重脅迫):第1段階・第2段階に加え、DDoS攻撃による脅迫を実行。ランサムウェア「Avaddon」が初めてこの手法を実行。
■第4段階(四重脅迫):第1〜3段階に加え、被害者となる顧客へメール送信やコールセンターなどからの連絡により脅迫。
※従来までのランサムウェアは第1段階のみ
このように、ランサムウェアは確実に金銭を得るために進化を続けているのです。
『ランサムウェア「DARKSIDE」によるサイバー攻撃、米国のインフラ事業者が一時操業停止』
(出典:2021年05月14日 トレンドマイクロより)
ランサムウェアから身を守るには
今回のDarksideのように最新の「多重脅迫」手法によるランサムウェア攻撃では、初期侵入をしてもすぐにランサムウェアが実行されるわけではありません。多くの場合、内部活動および権限の昇格や情報送出といった活動を行ってデータを盗み出し、そのうえで暗号化を実行します。
では企業や組織ではこうしたランサムウェアからどのように身を守ればよいのでしょうか。
カスペルスキーでは、企業における対策として以下を推奨しています。
■公のネットワークからリモートデスクトップサービスに対する不要な接続を禁じ、
こういったサービスのパスワードは常に強力なパスワードとする。
■リモート勤務者が企業ネットワークへの接続に使用するVPNソリューションに対し、
利用可能なパッチがあればすべて適用する。
■脆弱性の悪用を防ぐため、インターネット接続するデバイスのソフトウェアは
すべてアップデートする。
■防御戦略においては、横展開の動きやデータを引き出す動きの検知に重点を置き、
発信トラフィックに対して特に注意を払う。
■データは定期的にバックアップし、いざというときにバックアップデータへ
アクセス可能な状態にしておく。
■脅威インテリジェンスデータを利用して、最新の攻撃戦術、攻撃テクニック、
攻撃手順を把握する。
■初期段階での攻撃阻止を助けるセキュリティソリューションを使用する。
■企業環境のセキュリティを意識づけるため、従業員に対してトレーニングを行う。
■悪意ある変更をロールバックしてシステムを復元することができる
エンドポイント保護ソリューションを使用する。
このように、マメなアップデートや重要情報のバックアップ、リストアをしておくことはもちろんですが、組織においては人の脆弱性も対策には欠かせません。従業員教育を定期的に行い、攻撃の踏み台にされないようにしておきたいものですね。
『いかにしてランサムウェア攻撃へ対応するか:Colonial Pipelineの場合』
(出典:2021年5月14日 カスペルスキーより))
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