AIは日々データが蓄積されることにより精度が上がる

 
以前ITサポートの日誌でも取り上げた「医療×人工知能」（【7月第2週】「医療×AI」人工知能で変わる医療現場とは）。当該記事ではAIで大腸がんを検知するシステム開発や、リハビリテーションにおいてのAI活用について解説しました。AIは日々膨大に増えるデータを取り込み学習することで情報の精度が高まります。私たちの日常でいえば日々の情報を記録する「ライフログ」もAIの学習データとして有効ですね。睡眠時間を計測するアプリ、1日の歩行距離や運動量を可視化するアプリ、またはブログもライフログの一種に含まれます。
 

ライフログ（英: lifelog）とは、人間の生活・行い・体験を、映像・音声・位置情報などのデジタルデータとして記録する技術、あるいは記録自体のこと。（wikipedia）

 
ライフログのAI活用とは、AIが記録された詳細情報を解析し、ユーザーに沿った独自のデータを提供することを意味します。先日発表されたNTTドコモと東北大学東北メディカル・メガバンク機構（ToMMo）による実証実験の結果では、妊婦のライフログを収集し、病気の予兆を捉えることができるようになりました。日々の記録で集められたビックデータのAI解析技術や機械学習が大きな役割を果たしたのです。
 
また、東京メトロでは従業員の健康管理の一環としてヘルスケアアプリ「カロミル」を用いて従業員の健康推進に向けたの実証実験を開始します。アプリで写真を撮影するだけでAIが画像解析しカロリーを分析。不足または過剰摂取している栄養素などがデータで確認できるとともに、組織別、職種別、拠点別などセグメント毎に情報を可視化して生産性や安全性向上のための施策を打ち出すことが可能となるのです。
 
いずれも日々データが蓄積されることによりAIの精度が向上するため、ライフログとAIの相性は良いといえるのかもしれません。
 
AIとゲノム解析で妊婦の病気を予防したり早期発見へ　NTTドコモとToMMoが約600万件のライフログなどから変動パターンを解明
（出典：2019年3月17日 ロボスタ記事より）
 
日本ユニシス、AI活用の「健康経営プラットフォーム」の実証
（出典：2019年3月28日 マイナビニュース記事より）
 
 

声をAI解析することにより健康状態・疾患への兆候がわかる

 
声だけで感情や精神的・肉体的な健康状態が把握できるようなシステムの開発も進んでいます。富士通研究所が開発した技術もそのひとつです。コールセンターの現場においてAIの機械学習を用いて会話から否定的なワードや話者の声の高さ・大きさ等ストレス状態を分析し応対トラブルを検知、迅速に管理者が対応できるための仕組みの実用化をめざしています。
 
また、AIの音声解析はトーンやテンポといった声の特性を測定し、感情を特定する音声パターンデータと比較して行われます。例えば気分や情緒を読み取ることにより精神疾患の治療に繋げる研究や、周波数を分析し特定のバイオマーカー（バイオマーカー：血液や体液などに含まれる、病気や治療に相関した生体内物質）を発見することで心臓疾患への危険な兆候を検知するなどの研究もおこなわれています。
 
すべての業種に影響を与えているAI。医療分野におけるAIの価値は高まり続けると同時に、私たちの想像を超えて日々成長を続けているのです。
 
応対トラブル、AIがすぐ検知　富士通研、コールセンター向け開発
（出典：2019年3月20日 日本経済新聞記事より）
 
AIが声を分析、病気検知や犯罪捜査も可能に 精神・肉体の健康状態のほか、身長・体重まで声で特定
（出典：2019年4月9日 The Wall Street Journalより）

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