生成AIと権利問題/生成AI専用保険も登場
2022年11月に米OpenAIが対話型チャットボット「ChatGPT」を公開したことをきっかけに、一気にAIの社会実装が加速しています。多くの業界での活用が見込まれる一方で、権利侵害や情報漏洩、情報の正確性などのリスクが存在し、導入に向けた大きな障壁となっています。
AIと著作権の問題
生成AIとの関係で、著作権法がどのように適用されるか、著作物などの利用に権利者の許諾が必要となるのはどのような場合かなど、AIと著作権に関する現行の著作権法の解釈に関しては議論の余地が様々あります。
そんななか文化庁は、1月23日から2月12日にかけてパブリックコメントを募集した「AIと著作権に関する考え方について(素案)」について、2万4938件の意見が集まったと発表しました。個人に加え、73の法人・団体数からも意見の提出あり、あわせてパブリックコメントの意見を踏まえた新たな素案も公開しています。
同庁では、今後もAIと著作権に関する法解釈について、今後も分かりやすい形で啓発していくと説明したうえで
「必要に応じて、著作者人格権や著作隣接権とAIとの関係(俳優・声優などの声を含んだ実演・レコードなどの利用とAIとの関係を含む)において、検討すべき点の有無や内容の検討を含め、『考え方』の見直しなど必要な検討を行う」
としています。
生成AIとこれに関わる事業者、また、クリエイターとの間で、新たなコンテンツの創作と文化の発展に向けた共創の関係が実現されていくことが望まれます。一方で現行の法解釈を踏まえた適切な当事者間のルールやガイドラインの構築が急がれます。
『文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)』
(出典:2024年2月29日 文化庁より)
生成AI専用保険が登場
前述のよう様々な権利上の問題が議論されるなか、あいおいニッセイ同和損害保険は、3月から国内初となる「生成AI専用保険」の提供を開始すると発表しました。
今回発表した生成AI専用保険は、Archaicが開発・構築した生成AIシステム・サービスを導入・利用する企業が対象で、生成AIの利用で知的財産権の侵害や情報漏洩などが発生した際に、企業が負担する費用(調査、法律相談、再発防止、記者会見・社告、被害者への見舞金)を補償する商品となります。
具体例としては、生成AIを使用して生成した製造物が知的財産権(特許権、商標権、実用新案権、意匠権、著作権)を侵害したとして権利者から訴訟を起こされた場合、国内の訴訟に限定して補償の対象となるというものです。また、生成AI使用に起因して自社の機密情報が外部に漏洩し、そのことが新聞やテレビ等で報道された場合や、生成AIの使用に伴う口頭、文書、図画といった表示行為による名誉の毀損、プライバシー侵害、そのほか不適切な表現が新聞やテレビなどで報道された場合なども対象になるといいます。
さらに事故後の補償だけでなく、Archaicが提供するガバナンス体制の構築支援や事故発生後のコンサルティングサービスをパッケージで提供。事故の未然防止や事故後の早期回復の機能を加え、企業の安全・安心な生成AIの利用を支援するとしています。
『【国内初】生成 AI のリスクを補償する「生成 AI 専用保険」の提供開始』
(出典:2024年2月28日 あいおいニッセイ同和損保より)
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