日米企業データから見るDX推進動向から見えるもの
デジタル技術をビジネスプロセスやサービスに組み込むことによって、企業や組織の業務を効率化し、付加価値を高めるDX化(Digital Transformation)は、日本国内においても以前からの課題となっています。政府も「デジタル国家戦略」を策定しているにもかかわらず、未だ日本と米国との間にはその動向格差があることが見えてきました。
日米企業のDX動向
情報処理推進機構(IPA)は、日米企業のDX動向を比較し、戦略や人材、技術の面からDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の現状や課題などを包括的に解説した「DX白書2023」を公開しました。この白書は2021年版に続く第2弾となり、新たに154件のDX事例を分析し、その結果を「企業規模」「産業」「地域」の3つの軸で俯瞰した図にまとめたものとなっています。
日米企業アンケート調査では、日本企業のDXはデジタイゼーションやデジタライゼーションの領域で成果はあがっているものの、顧客価値創出やビジネスモデルの変革といったトランスフォーメーションのレベルでは成果創出が不十分であることが分かりました。人材面ではDX推進における課題が顕著にあらわれ、技術面では、特にスピード、アジリティ向上に必要となる手法・技術の活用が米国企業に比べて遅れている状況が明らかになっています。
DXの進捗に関する調査結果を見ると「DXに取り組んでいる」という日本企業の割合は69.3%となっており、前回調査(2021年度調査)よりも13.5ポイント増加となっています。しかし、「全社戦略に基づいてDXに取り組んでいる」という企業の割合は54.2%となっており、米国企業と比べると13.9ポイント低い状況。成果に注目しても、「DXで成果が出ている」とした日本企業は58.0%だったのに対し、米国企業は89.0%と大きく差が開いていることがわかります。
日米の技術活用格差が顕著
DX推進人材が「充足している」と回答した企業の割合は日本はわずか10.9%だったのに対し、米国は73.4%でした。日本ではDXを推進する人材の不足が課題となっている一方で、米国企業での人材の充実ぶりが伺えます。DXを推進する人材像の設定状況については「(人材像を)設定し、社内に周知している」という企業の割合は、日本が18.4%なのに対し、米国では約半数(48.2%)。これについてIPAでは「人材の獲得や確保を進める上では漠然と人材の獲得・育成に取り組むのではなく、まず自社にとって必要な人材を明確化することが重要だ」としています。
また技術面では、ITシステム開発技術の活用状況を調べたところ、日本企業はIT資産を構築・所有しないでサービスを利用する「SaaS」を活用する企業が40.4%と高く、米国の53.4%と差が少ない一方、「マイクロサービス/API」は21.1%(米国は57.5%)、「コンテナ/コンテナ運用自動化」は10.5%(米国は52.1%)と、米国と比べて大きな差がありました。これについてIPAでは「日本では、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるITシステム構築のための技術に対して活用度合いが低い」と指摘しています。
ここ数年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、リモートワークやオンライン教育などの需要が高まり、デジタル技術の重要性が一層認識されています。にも関わらず、日本国内におけるDX化の遅れは「文化的・組織的な要因」や「技術的な課題」などが考えられます。ただ、政府がデジタル国家戦略を策定し、企業や組織がDX化に積極的に取り組んでいるいま、今後日本国内でもDX化加速する可能性に期待したいですね。
『日米企業におけるDXの最新動向を解説する「DX白書2023」を公開』
(出典:2023年2月9日 情報処理推進機構より)
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